着物の下に着る長襦袢。着物を汚さないためだけでなく、半衿を付ける役割もあり、着物を着付ける際にはなくてはならないものなのです。本来であれば自分に合わせて仕立てたものが良いですが、費用やタイミングなど難しい場合もあります。
長襦袢と着物が合わない時の対応方をお知らせしましょう。
目次
【袖口から長襦袢が出てしまう時】
長襦袢の裄(ゆき・首の付け根から手首のくるぶしまで)の方が着物よりも長いと、着付けをした時に着物の袖口から長襦袢が出てしまいます。これは着物と長襦袢の裄のサイズが違うためです。まずは着物と長襦袢、どちらの長さが自分に合っているかどうかをチェックしましょう。
手を斜め下45°にした時に、裄がくるぶしまでくるものがジャストサイズとなります。手の甲まできてしまう裄は長すぎますし、くるぶしの上でとまってしまう場合は、裄が短すぎると言って良いでしょう。
着物の裄が短い場合は、着物を着る時に衿幅が広くなるように折ります。衿幅が広くなった分、裄は袖口側にずれるので裄も長くなります。こうすることで、長襦袢が着物の中に納まる場合があるのです。(浴衣は棒襟といって最初から衿の幅が決まっているので、衿の折り幅を変えることはできません)
着付けをした後で、長襦袢が着物の袖から出てきてしまったら、取りあえず応急処置をします。長襦袢の袖・中央部分の布を折って、長襦袢の袖を短くしてから、折山を安全ピンで押さえて下さい。着物よりも7~8mm長襦袢が内側に入ると丁度良いでしょう。
【長襦袢と着物の袂(たもと)の長さが合わない】
長襦袢の袖の方が着物の袂よりも長い場合は、着物の袂の下側で長襦袢の袖がもたついてしまいます。長襦袢の袖が少しだけ長い場合は、長襦袢の袖下側を内側に三角形に折って、折った布を見えないようにすると綺麗です。
長襦袢の袖の長さが4~5㎝長い場合は、袖を裏返しにして長い分を安全ピンで2~3箇所押さえてから、同じく袖下側を三角形に内側に折ります。
着物の袖が長くて長襦袢の袖が短い場合は、確かに着物の袂がもたつくことはありません。その代わりに着物の袖から長襦袢の袖がブラブラと出てしまう時があるのです。そんな時も長襦袢の袖下を三角形に折りましょう。袖の長さが大きく違う場合は、着物の袖の途中で一針刺し、長襦袢の袖が外に出ないようにすることも出来ます。
【長襦袢の丈が長い】
女性の着物の場合は、おはしょりを作ることで長さを調整しますが、長襦袢におはしょりはありません。事前準備できる時はウエストの場所で一折りしてから、縫うのがおすすめですが、時間のない場合は腰紐で仮押さえをしましょう。
【アイデア襦袢なら補正も簡単。特徴をチェック】
昔からあるアイディア襦袢が「二部式襦袢」。上下に分かれるセパレートタイプで、長さの補正が簡単に出来ます。ほとんどがプレタポルテなのでお値段はリーズナブルですが、袖丈や裄の調節は出来ません。
最近注目を浴びているのが「うそつき襦袢+替え袖」です。襦袢の肩の部分にマジックテープが付いて、替え袖を着物に合わせて交換します。袷(あわせ)の時は普通の袖でも、夏物の時期は絽や紗専用の袖につけ替えて楽しむことが出来るのです。
さらにマジックテープの位置を変えることで、裄の長さも調節可能となります。ワンピースタイプはもちろん、二部式タイプもあるので色々とチェックしてみても良いでしょう。
長襦袢と着物のサイズが合わないことは、珍しいことではありません。例えば振袖です。未婚の第一正装と言われる振袖は、着られる期間も短いので、着物屋さんでのレンタルや知人から借りるという方も多いでしょう。振袖の袖の長さは本人の体型や柄で分かれる場合がありますから、たとえ振袖用の長襦袢でも着物が違うと袖の長さが合わないことはよくある話なのです。
「振袖と帯は友達に借りられたけれど、下着である長襦袢までは一緒に借りることは出来なかった」なんて時もあるでしょう。着物屋さんのレンタルなら長襦袢の心配は必要ありませんが、専門家以外から借りる場合は注意が必要です。
長襦袢をどうするのか、自宅のものを使うのか、新たに購入するのか・・・着物をチェックする際には長襦袢にも気を配って下さいね。